HISTORY#EPISODE-04
翔く新世紀を目指し着々布石
第1号の区分許可で加工増大
平成6年(1994)8月18日付けで厚生大臣から区分許可(医薬品製造区分追加許可書の交付)が下りた。これは複雑な委受託双方の承認手続きを省略し、契約のみで製造できるもので、ここに至るまでには多くの段階があったが、やっと欧米並みになった。
ただ、このライセンスを得るには、許可申請手続きには厄介な面もあったが、佐藤薬品工業は持てる事務能力をフルに発揮して迅速に申請を行い、内服固形剤では全国で第1号の区分許可となった。
これによって新たに行うことのできる製造工程は、粉砕、秤量、混合、溶解、練合、造粒、カプセル充填、打錠、コーティング、濾過、乾燥、充填、装栓、包装、表示の15工程になり、受託加工の増大に寄与した。
GMP適合の新たな工場が完成
業界再編やリストラの進行など効率経営が重視される経済の流れのなかにあって、医薬品業界も売上の伸び悩みが深刻な問題になっていたが、佐藤薬品工業は逆に、このピンチをチャンスに転じる積極的な経営を、カプセル剤を中心に展開した。
佐藤又一には、「器があってこそ、品物がやってくる」との考え方があり、これまでの終始積極的な設備投資は、この確立された考え方に基づくものだった。
平成8年(1996)にGMP適合の新工場が完成したのに続き、前記のように協業組合奈良県製薬を買収して、茅原工場とした。また、資本金を3億円に増資。生産設備ではPTP・ピロ包装高速ラインを設置し、さらに工場拡張に備えて用地の購入も進めた。
平成9年(1997)になると、私募債5億円と転換社債1億円を発行した。カプセル充填機を増設するなど、生産体制の強化も進んだ。
新工場は、従来の工場の北側に建設したもので、鉄筋コンクリート3階建て、延べ3,287平方メートル。8億円の建設費と7カ月の工期をかけ、3月に完成した。これにより本社工場は、延べ建築面積が鉄筋コンクリート一部3階建て1万4,500平方メートルに拡大された。
設計にあたって特に留意したのは、異物の混合を防止することだった。サニタリードラム容器を使用した自動投入方式を採用。製品と従業員の接触を少なくした密閉作業工程としたことにより、発塵が最小限に抑えられ、クロスコンタミ、異物の混合防止が可能になった。
設備や機械の増設は、生産量を高める必須の条件である。これにより本社工場の全部屋数は188室(廊下を除く)で、製薬用機械数は320台、試験検査用機器250台にそれぞれ増大した。
不透明時代を克服して
佐藤薬品工業は、創立50周年の平成13年(2001)と平成19年(2007)の2回、米国FDA査察と同定期査察に合格。平成20年(2008)にはヘルスカナダの査察にも合格し、製品の大量輸出態勢を着々と整備、その後も5階建て被膜棟の増設など工場増設、立体倉庫の新設など設備投資に積極的。
平成14年(2002)6月以降、工場増設、機器新設、用地買収など全設備投資額は70億9,203万円におよび、第一目標の100億円企業へ、年々その地歩を固めている。
最も得意とするカプセル生産量は、月産8千万カプセル、年間10億カプセルにのぼる。一方、企業の環境整備に万全を期すための世界的な認証(ISO14001)を取得、その目的達成に努めている。